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DECISION・事業者の選び方

AI支援事業者の選び方
契約前に確認する15項目と、危ない見積りの見分け方

対象:理事長・施設長・事務長最終更新:2026-10-09著者:合同会社サン 代表 菅野 竜輔

福祉業界に生成AIの提案が急に増えました。困るのは中身の良し悪し以前に、比べる物差しがないことです。A社は月10万円、B社は初期50万円と示されても、どちらが妥当かを判断する材料が提案書には書かれていません。この記事では、施設側の立場で、聞けばまともな事業者かどうかを判別できる15項目を出します。当社が答えにくい項目も入れました。他社と比べるときに、そのまま使ってください。

この記事の全体像

契約前の15項目は、4つの束に分けて聞く

契約前に確認する15項目
体制と実務 5項目現場経験、関わり方、再レクチャー、窓口、緊急時の連絡
お金 4項目最低契約期間、月額の範囲、初期費用の中身、補助金
情報の安全 3項目個人情報の扱い、学習に使われない設定、責任範囲
出口 3項目所有権、手順書、効果の測り方と判断の時期
束ごとに聞けば、提案書に書かれていない所がどこかが見えます。他社の提案書の点検にも使えます。

なぜ確認項目が要るのか

福祉業界に生成AIの提案が急に増えました。中身の良し悪し以前に、比べる物差しがないのが困りどころです。A社は月10万円、B社は初期50万円という提案を並べても、どちらが妥当かを判断する材料が、提案書には書かれていません。

そこで、施設側の立場に立ち、聞かれた事業者の答え方でまともかどうかが分かると当社が考える15項目を出します。当社に有利な項目だけを並べても意味がないので、当社が答えにくい項目も入れています。

契約前に確認する15項目

A 体制と実務(5項目)

  1. 担当者は福祉の現場実務の経験があるか。記録も加算も運営指導も知らない人が設計すると、現場で使えない手順ができます。「介護の経験がある人はいますか」と聞いて、年数と職種を答えられるかを見てください。
  2. 月に何回、どんな形で関わるのか。訪問かオンラインか、回数は何回か。ここが曖昧な契約は、忙しくなると自然に減ります。
  3. 職員が入れ替わったときの再レクチャーは含まれるか。福祉は人が動きます。教え直しが別料金なら、実質の費用は倍になります。
  4. 窓口は1本か。営業と実務担当が別で、話が伝わらない体制は現場が疲れます。
  5. 緊急時の連絡手段と返答の目安。運営指導の前日に連絡がつかないと困ります。

B お金(4項目)

  1. 最低契約期間と、途中解約の条件。書面で確認してください。口頭で「いつでもやめられます」は根拠になりません。
  2. 月額に含まれる範囲と、含まれない範囲。「別途お見積り」がどこから始まるかを、契約前に線引きしておきます。
  3. 初期費用の中身。何を作る費用なのか、成果物は何かを確かめます。
  4. 補助金を使うなら、どの事業のどの経費区分か。答えられない事業者は要綱を読んでいません。国のメニューではコンサル費が対象外の県が多数です(補助金の対象になるかの一覧)。

C 情報の安全(3項目)

  1. 利用者の個人情報をAIに入れる設計になっていないか。氏名や病名をそのまま生成AIに入れる手順を勧める事業者は避けてください。記号化してから使うのが基本です。
  2. どのAIサービスを使い、入力データが学習に使われない設定になっているか。サービス名と設定の名称まで答えられるかを見ます。
  3. 事故が起きたときの責任範囲が契約書に書かれているか。書いていない契約は、起きてから揉めます。

D 出口(3項目)

  1. 作った仕組みの所有権は施設側にあるか。契約が終わったら使えなくなる作りだと、乗り換えられません。
  2. 手順書は施設に残るか。人ではなく紙とデータに残っていれば、事業者が変わっても続きます。
  3. 効果をどう測って、続けるか止めるかをいつ判断するか。3ヶ月後に何を見て判断するかを先に決めておきます。

他社の提案書を見ながら、この15項目で一緒に点検することもできます。

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危ない見積りの見分け方

  1. 一式でいくら、としか書いていない。何にいくらかかるのかが分かれていない見積は、比較も交渉もできません。
  2. 効果を数字で断言している。「記録時間が50パーセント減ります」と契約前に言い切れる根拠は、普通ありません。施設の運用を見ていない段階での断言は疑ってください。
  3. 補助金ありきで話が進む。採択されなかったときにどうなるかを聞いて、答えが用意されていない場合は危険です。
  4. 急かす。「今月中なら」「枠が埋まる」と言って契約を急がせます。制度の締切は動きませんが、業者の枠は交渉できます。
  5. 解約の話をすると機嫌が悪くなる。出口を説明できない相手とは、入口も結ばないでください。
見積りを受け取ったら

この5つに当てはまる見積りは、いったん止めて聞き直す

  • 一式でいくら、としか書いていない何にいくらかかるか分からず、比較も交渉もできない
  • 効果を数字で断言している施設の運用を見る前に言い切れる根拠は普通ない
  • 補助金ありきで進む不採択のときの話が用意されていない
  • 急かす制度の締切は動かないが、業者の枠は交渉できる
  • 解約の話で機嫌が悪くなる出口を説明できない相手とは入口も結ばない
どれも、契約前に書面で答えてもらえるかどうかで見分けられます。

当社にこの15項目を当てるとどうなるか

自分に甘い記事は信用されないので、当社の答えも書いておきます。

この15項目は、他社と比べるときにも使えるように作りました。比べた結果、他社のほうが合っているなら、そちらを選んでください。

よくある質問

相見積もりは何社取るべきですか?
2社から3社が現実的です。それ以上増やすと比較の作業自体が重くなります。大事なのは社数より、この記事の15項目という同じ物差しで聞くことです。同じ質問をすると、答え方の差がはっきり出ます。
提案書の効果予測は信じていいですか?
契約前に効果を数字で断言している場合は、根拠を聞いてください。施設の運用を見ないうちに「記録時間が何パーセント減る」と言い切れる根拠は普通ありません。効果は導入後に測って判断するものです。
個人情報をAIに入れても大丈夫ですか?
氏名や病名をそのまま生成AIに入れる手順は勧めません。記号化してから使うのが基本です。事業者にどのサービスを使い、入力データが学習に使われない設定になっているかを、サービス名と設定名まで確認してください。
契約が終わったら、作った仕組みは使えなくなりますか?
契約次第です。だからこそ契約前に、作った仕組みの所有権が施設側にあるか、手順書が施設に残るかを確認してください。ここが押さえられていれば、事業者を変えても運用は続きます。

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菅
菅野 竜輔(かんの りゅうすけ)/ 合同会社サン 代表社員
介護職、施設長、ケアマネジャー、地域包括支援センター、生活困窮者支援を経験。現在は社会福祉法人と福祉事業者向けに、生成AIの導入と定着の伴走をしています。
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